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2014年度の活動について

2015年1月28日(日)
学習会 
谷口明広氏を囲んで
​参加者15名

おもちゃライブラリーの学習会

「谷口明広氏を囲んで」

(2015年1月28日午後1時〜3時

 京都ボランティア協会)報告

 谷口明広氏をお迎えして開催した、久々の学習会。東京のおもちゃ図書館財団事務局長の砂山氏や近江八幡市のおもちゃ図書館「宙」の榊原氏もお迎えし、京都のライブラリーのメンバー8名、一般参加の5名の15名の参加者で開催しました。

 谷口先生の用意されたレジュメは「障害児支援の動向—人権保障を中心にー」という10ページにも及ぶ固い内容でしたが、障害をもった子ども達への支援が今どのようになっているのかをポイントを押さえてお話頂いたので、大変わかりやすく、あっという間の二時間でした。また、同時に、ライブラリーの果たす役割への先生の想いが胸に響く時間となりました。

 以下その報告です。

 まず、障害児は「小さな障害者」ではなく、「障害をもっている子ども」であるとして行政の管轄が障害福祉から児童福祉へ変更されたが、児童福祉では、障害者や障害児のことへの理解が不十分であったため、子どもではなく親の要望にこたえる形で「放課後支援」や「特別支援学校」の増設が行われている。

 親のニーズと子どものニーズは違う。そもそも子どもは親を裏切り親はそこで成長するものである。一般的に言って障害児は親を裏切らないから成長しない親が多い。自分一人で何かを決めることが難しいような障害児については、家族に意見を聞くのではなく支援者が「障害児本人の最善の利益の保障」を大事にして決めていくことが大事だと思う。  

34年前の国際障害者年の頃は、おもちゃライブラリーやいろいろなグループが誕生した時代であるが、この頃は普通学級に行かせたいという親が多かった。今は特別支援学校に行かせたい親が増えてきている。これは1980年代〜90年代の統合教育の方向とは違った動静のように感じている。とくに現在は、昔なら日本の職人文化を作ってきた人として受け入れられてきたと思われる発達障害の人や子どもに注目が集まり、障害者はこちら、健常児はこちら、という風に変わってきていると感じる。

 特別支援学校と一般の学校ではそれぞれメリットとデメリットがあり、どう考えるかは難しいところである。特に身体障害の子ども達にとっては一般の学校での学習のほうが大学進学等に備えることができるが、アメリカのように放課後の時間を使ってリハビリを受けるシステムがなかなかできない。

 子ども達には、将来のために、集中的にもっとお金をかけて療育や教育をすべきだと考えている。また、現代の子育ての考え方は、もともとそこにいた子ども達をもともとのその場所で育て大人になっていく、という「インクルージョン」の考え方であり、昔のように山の中の施設に入れるという時代ではない。   

 また放課後の子ども達への支援については、厳しいことをいえば、おもちゃライブラリーは歴史的にそのニーズに十分応えてこられなかったといえるだろう。それはそれだけの人や資金の資源がなかったのだと思うが、もっとニーズにこたえて活動の巾を広げてこられたらよかったのではないかと思う。

 放課後デイは今爆発的に増えている。児童福祉が放課後デイの基準を甘くしてきたため、素人でも介入できる儲かる事業という噂が流れてしまった。この4月からは基準の見直しが行われる予定であるが、事業所が撤退して子ども達に不利益があるのではないかと心配されている。

 福祉というのは、もともとボランティアベースでやってきたため、素人でもできる、と見なされることが多い。しかし、とくに日本では、ボランティアのほうが専門的な仕事をしていたり、専門家がボランティアよりも専門的でないという場合もある。アメリカでは、ボランティアと専門家は違いがあり、日本のように介助に一律のお金が発生するということはない。ボランティア的なお手伝いには個人契約で小額のお金を、専門家には高額のお金を支払う自由が障害者本人に任されている。日本でも国は障害者を信頼してもらってそれを実現してもらいたいと考えている。

 おもちゃライブラリーなどのボランティアグループ自体ももっと頑張ってもらいたい。どこもグループが高齢化しているように思う。もっと若い人を受け入れてほしい。今の学生さんには、お金をもらわないボランティア活動の経験をたくさん積んで欲しいと思っている。京都でも大学の先生には自分の学生達にそのような活動をさせたい人もいるはずであり、大学の先生にもアピールしていくのがいいと思う。また専門の相談機関からは「社会資源」として認められるようにもPRしてもらいたい。障害をもっている人のライフステージの中に位置づけていけるように考えてほしい。子育て中の母親達が虐待に走ることのないように相談にのれる場所としても存在価値があるはず。また虐待の早期発見や通報義務についても心しておいて欲しいと思う。

 最後に、日本はようやく平成26年1月に国連障害者権利条約を批准し、平成28年「障害者差別解消法」が施行されることになった。しかしいまだに法律の内容は何も決まっていない。京都では京都府が条例をつくることになり、その副委員長として「京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例」を作成し、この4月より施行されることになった。この条例では、差別的取り扱いの禁止、合理的配慮の提供、第三者委員会の設置を決めた。(京都府のホームページからパンフレットをプリントアウトすることができます)

 

 当日の資料はたくさん印刷しています。希望する方はご連絡下さい。

 (タンタン通信より)

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